アメリ・ノトーンの「午後4時の男」

Bonjour !

以前に「恐れ慄いて」という映画を紹介しましたが、あの作者アメリ・ノトーンの本です(日本語ではノートンと表記されますが、フランス語のインタビューを聞いたときにはノトーンまたはノトンという発音でした)。原題は"Les Catilinaires"ですが、邦題は内容を汲み取って、かなりの意訳となっています。1995年出版ですから、20年前の本で、読んだのもかなり前のことです。
まずLes Catilinaires"というタイトルを見て、いったい何なのか辞書を引いてしまうのが普通ですが、プチ・ロワイヤルにはありませんでした。そういうときはインターネットで調べます。前1世紀ローマの雄弁家キケロの有名な演説の冒頭部の一句に由来するそうですが、内容とどういう関係があるのかよく分かりません。作者は古典の教養が深いようで、古典からの引用がけっこうありますね。

さらに不可解なのが、本の表紙が日本の相撲取りの絵になっているのです。化粧まわしに八十嶋と書かれていますので、そういう名前の力士がいたのでしょう。これも調べてみましたが、八十嶋冨五郎(やそしま とみごろう、1760年〈宝暦10年〉 - 1819年11月21日とあり、記録に残っている力士の中では最年長力士だそうです。この絵が誰作のものか、どこで入手したのかも、よく分かりません。作者は日本にも住んだことがあり、相撲ファンだったそうなので、こういう力士の浮世絵のようなものを収集していたのかもしれません。原題とこの表紙にどんな関連性があるのかも不明です。表紙は思いきり日本ですが、ひとたび内容を読み出すと、フランスという面白い対比をなしています。

あらすじは、高校で長年にわたりラテン語とギリシア語の教師をしていたEmileは、65才で定年退職するのを契機に静かな田舎に一軒家を買って、妻Julietteとひっそりと隠遁生活をすることを夢みていました。家探しをするうちに、モーウ゛(Mauves)という町から4キロの村に理想の家を見つけます(モーウ゛はリヨンから南に80キロほどの地点にあり、ローヌ川沿いにあります)。これぞ自分の思い描いていた家だと、すっかり気にいってしまいました。川の向こう岸には、1軒の家があり、売主の話では医者が住んでいるというのです。近くに医者が住んでいるなんて願ったりかなったりじゃないか、ますますその家が気に入り、ためらうことなく買ってしまいます。これで二人で毎日静かに暮らせるぞと思ったところ、その隣家の医者というのが曲者でした。隣人との揉め事というのは、よくある話ですが、そういうよくある話とはまったく異なるトラブルです。果たして、この隣人とどういう問題が起きるのかは、本を読むと分かるのですが、この医者のキャラクタが本当に面白いです。こんな人が実際にいるのだろうかと思うくらいです。150ページの薄い本ですが、それほど難解でもなく、楽しみながら読める本です。読み終わっても、表紙の力士が何を表しているのか、よく分かりません。増刷された後の本は、別の表紙になってるようです。

A la prochaine !





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写真はヌメアのCroix-Rougeでのフランス語講座の光景です。



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