タンタン-ソピエトへ

Bonjour !

ご存知の方も多いでしょうが、タンタンの冒険というマンガがあります。
ベルギーの漫画家エルジュの作品ですが、全24巻のシリーズです。
主人公の少年記者タンタンとお伴の白い犬ミルーが世界のいろんな国に派遣され、そこで事件に巻き込まれ、無事に切り抜けてベルギーに戻るというお話です。
このシリーズは世界50カ国以上の言葉に翻訳され、売上が2億8000万部という人気マンガです。ドラゴンボールはこれを上回りますから、これもすごいですが。

このシリーズの第1作が「Tintin au pays des Soviets(タンタン ソビエトへ)」という1930年出版の本ですが、この作品だけがこれまでずっと白黒のままでした。日本では2005年にこの白黒版の翻訳が福音書館から出版されています。
ところが、この90年近くずっと白黒であった本がなぜか、2017年1月11日にカラー版となって発行されたのです。ソビエトの1917年の革命の100周年を記念してのカラー出版だと書かれていますね。

著作権法からすると、こういう変更は問題あるのではないかと気になりますが、どうなのでしょうか。フランスでも賛否両論はあるようです。ベルギーでの著作権の保護期間は著作者の死後70年ということは、エルジェの没年1983年の70年後に著作権がなくなりますから、2017年はまだ死後34年ということで、普通なら著作物は著作権によって保護されるはずです。

それはさておき、そういう珍しい話題性のある本というのでざっと読んでみました。
ソビエト連邦という国もなくなった現在、ソ連という国がどんな描き方をされているのか興味ありますね。

あらすじは、タンタンがソ連の取材に派遣され、その道中でいろんな危険に出会って、お伴のミルーと助け合いながら危険を乗り越え、無事にベルギーに戻ります。その冒険たるや、まるで不死身の人間みたいに危機一発で助かるというマンガらしい筋書きです。

これを取り上げたのは、オリジナルがフランス語だからで、マンガのフランス語の会話がどれだけ分かるか興味がありました。
吹き出しの中の文字が手書き風なのが、分かりづらくて苦労します。後のシリーズは文字が少し読みやすいかもしれないです。

フランスのロワール川の古城の1つに、シュベルニー城(Château de Cheverny)というのがあります。
この城は「タンタンのお城」と言われていますが、それはエルジェが「タンタンの冒険旅行」シリーズで、シュベルニー城をモデルにムーランサール城を描いたからだそうです。最初にこのお城が出てくるシリーズは、Le Secret de La Licorne(ユニコーン号の秘密)だそうです。ロワールの古城めぐりに入っていることが多いお城ですから、行く機会のある方には何かの参考になるかもしれませんね。

Le Figaroのカラー版の記事

http://www.lefigaro.fr/bd/2017/01/11/03014-20170111ARTFIG00009-dossier-les-secrets-hauts-en-couleur-de-tintin-au-pays-des-soviets.php

A la prochaine !
スポンサーサイト

天使と悪魔』(Angels & Demons)

Bonjour !

ダヴィンチ・コードに続いて、ロバート・ラングドン・シリーズの第1作「天使と悪魔』(Angels & Demons)」を
読み始めました。2000年発表の作品ですから、これもまた時代遅れかな、まあブームに乗る必要もないですしね。ただし、言語は英語ではなくフランス語版でした。これはヴァチカン市国が舞台なので、イタリア語がチラホラと出てきます。イタリア語もそれなりに分かるので抵抗はないですが。

最初のページで、CERNと反物質の記述があり、読んでみる気になりました。学生時代に素粒子物理学という講義があったのですが、そのときは理解できず、黒板の文字をノートするのに終始しました。CERNのことをいろいろ調べましたが、SHC(Large Hadron Collider)、すごいですね。円周27キロ、直径8.5キロの巨大な加速器、これがスイスとフランスの両国にまたがって地下100mの深さに建設されています。このトンネルは3分の2以上がフランス側にありますが、セルンから最も近いフランス側の村は、フェルネー・ヴォルテール(Ferney Voltaire)というのどかな村です。ジュネーブからバスで15分、この村の真下をLHCのトンネルが貫通しているそうですが、住んでいる分には関係ないかな。
参考までに、英仏海峡トンネルの長さは、37.9Kmですから、それよりやや短いですね。

この村にヴォルテールが1760年から住んでいたのが、この村の名前の由来で、ヴォルテールゆかりの建物もあるようです。
その著作には「カンディード」という作品があり、その最後に "Il faut cultiver notre jardin"という有名なセリフがあり、まだフランス語が分からないときに、どう和訳すべきか、また具体的に何を意味するのか、苦しんだことがありました。
そのヴォルテールゆかりの村に、セルンの巨大な加速器が貫通しているとは、ここでも新旧の対比に驚かされるフランスです。

調べているうちに、日本でもILC(国際リニアコライダー; International Linear Collider)計画で、全長約30kmの直線状の加速器をつくるというプロジェクトに行き着きましたが、その進展はどうなんでしょうか。日本のように狭い国土で、しかも地震国では、クエスチョンマークがつきますね。

この「天使と悪魔」は2009年に映画化されて、最近ではテレビでも放映されていますから、映画をご覧になった方も多いでしょうね。ただ、映画にはセルンの話が出てこないと書いている人がいましたが、これが本当なら一番興味深い部分が省かれていますから、本を読むほうが面白そうです。

A la prochaine !

フランソワーズ・ジルー"On ne peut pas être heureux tout le temps"

Bonjour !

やや古い本の紹介です。
特に話題になったわけでもないし、べストセラーになった本ではないですが、
タイトルに惹かれて買った本で、何回か読んでいる本です。
文体が気にいったのと、短い39章から構成されているので、読みやすいこともあります。
日本語には未翻訳のようですが、何回か読むうちに、分からなかった文も自然に分かるのです。

"On ne peut pas être heureux tout le temps"
par Françoise Giroud , 220ページ
出版日: 2001年1月 
出版社: Fayard, 4.55ユーロ

たとえば、こういう節がありますが、なるほどフランス語ではこういう風に言えばいいのかと、そのまま借用したくなります。
Quand j'avais vingt ans, je pensais que je n'atteindrais jamais cinquante ans, jamais. Cinquante ans, c'était comme la lune, une autre planète; je serais morte, à cet âge là !

インターネットの未来について書いている部分など、その先見の明には驚きます。
読んでいて、なぜか分からないのですが、何となく自分には読みやすいという本です。

A la prochaine !

アメリ・ノトーンの「午後4時の男」

Bonjour !

以前に「恐れ慄いて」という映画を紹介しましたが、あの作者アメリ・ノトーンの本です(日本語ではノートンと表記されますが、フランス語のインタビューを聞いたときにはノトーンまたはノトンという発音でした)。原題は"Les Catilinaires"ですが、邦題は内容を汲み取って、かなりの意訳となっています。1995年出版ですから、20年前の本で、読んだのもかなり前のことです。
まずLes Catilinaires"というタイトルを見て、いったい何なのか辞書を引いてしまうのが普通ですが、プチ・ロワイヤルにはありませんでした。そういうときはインターネットで調べます。前1世紀ローマの雄弁家キケロの有名な演説の冒頭部の一句に由来するそうですが、内容とどういう関係があるのかよく分かりません。作者は古典の教養が深いようで、古典からの引用がけっこうありますね。

さらに不可解なのが、本の表紙が日本の相撲取りの絵になっているのです。化粧まわしに八十嶋と書かれていますので、そういう名前の力士がいたのでしょう。これも調べてみましたが、八十嶋冨五郎(やそしま とみごろう、1760年〈宝暦10年〉 - 1819年11月21日とあり、記録に残っている力士の中では最年長力士だそうです。この絵が誰作のものか、どこで入手したのかも、よく分かりません。作者は日本にも住んだことがあり、相撲ファンだったそうなので、こういう力士の浮世絵のようなものを収集していたのかもしれません。原題とこの表紙にどんな関連性があるのかも不明です。表紙は思いきり日本ですが、ひとたび内容を読み出すと、フランスという面白い対比をなしています。

あらすじは、高校で長年にわたりラテン語とギリシア語の教師をしていたEmileは、65才で定年退職するのを契機に静かな田舎に一軒家を買って、妻Julietteとひっそりと隠遁生活をすることを夢みていました。家探しをするうちに、モーウ゛(Mauves)という町から4キロの村に理想の家を見つけます(モーウ゛はリヨンから南に80キロほどの地点にあり、ローヌ川沿いにあります)。これぞ自分の思い描いていた家だと、すっかり気にいってしまいました。川の向こう岸には、1軒の家があり、売主の話では医者が住んでいるというのです。近くに医者が住んでいるなんて願ったりかなったりじゃないか、ますますその家が気に入り、ためらうことなく買ってしまいます。これで二人で毎日静かに暮らせるぞと思ったところ、その隣家の医者というのが曲者でした。隣人との揉め事というのは、よくある話ですが、そういうよくある話とはまったく異なるトラブルです。果たして、この隣人とどういう問題が起きるのかは、本を読むと分かるのですが、この医者のキャラクタが本当に面白いです。こんな人が実際にいるのだろうかと思うくらいです。150ページの薄い本ですが、それほど難解でもなく、楽しみながら読める本です。読み終わっても、表紙の力士が何を表しているのか、よく分かりません。増刷された後の本は、別の表紙になってるようです。

A la prochaine !





本、"10 ans de liberté"(10年間の自由)

Bonjour !

ときどき聞くウェブ・ラジオの番組に、L'heure du crimeというのがあります。
司会のジャック・プラーデルが過去に起きた特異な犯罪事件を取り上げ、解説してくれるのですが、フランス語が分かりやすいこと、その怪奇さに引き込まれてしまいます。

最近の番組で取りあげられたのが、オーストリアのナターシヤ・カンプッシュ誘拐事件(L’affaire Natascha Kampusch)です。
ナターシャは1998年、10歳のときに誘拐され、誘拐犯人の家の地下の一室に8年間、つまり3096日間、監禁されます。犯人のもとから逃げ出したのが2006年、18歳のときです。それから10年が過ぎ、現在は28歳となっています。開放から5年後、この監禁の日々を綴ったのが、2010年に出版された"3096 Tage"。原書はドイツ語ですが、これがフランス語に翻訳されたのが"3096 jours"です。
日本でも似たような事件はありましたが、10代という多感な成長期に8年間も狭い空間に閉じ込められていたというのは、想像を絶します。まさに事実は小説よりも奇なり、です。この本は映画化もされています。

今回の番組は、ナターシャの本、«10 ans de liberté»(10年間の自由)の出版を記念してのことです。
パリ・マッチにも関連記事がありました。

http://www.parismatch.com/Actu/Societe/Natascha-Kampusch-10-ans-de-liberte-1080682

Bon dimanche !
プロフィール

petitcedre

Author:petitcedre
フランス語サークル、パルレーを主催しています。
フランスとフランス語に興味のある方なら、どなたでも大歓迎です。
写真はヌメアのCroix-Rougeでのフランス語講座の光景です。



最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター