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ケニルワースの城(Kenilworth)

Bonsoir !

二ヶ月以上もブログを書かなかったですが、おかげでやっと読み終えたのがこの本、約200年前の作品です。
なかなか先に進まず、図書館で4回も借り、二ヶ月近くかかりました。
英語の原作をキンドルに入れ、それだけでは理解できないので、訳本を図書館で借りたのです。
作者はウォルター・スコット(1771~1832)、今ではあまり読まれていないようですが、なかなか片手間に読める本ではありません。
使われている英語も古い英語で、辞書では古語として分類されている単語が頻出します。
訳本の日本語も昔の言葉遣いで時代劇のような会話で、訳者の方の読解力には感嘆しますが、私は原作の雰囲気を何よりも
重視するので、日本語の訳本だけを読む気にはなりません。
以前からいつかスコットの小説を読もうと思っていたのに、なかなか手をつけられませんでした。

スコットランドの首都エディンバラの大通り、ブリンセスストリートに沿った公園の中に、このスコットを記念する黒いスコット・モニュメントがそびえています。目につく記念塔ですが、そのような記念塔を建立されるこの人物はいったい何者なのか、その本をいつか読まなければと決心したのですが、とうとう今となってしまいました。
本の前半分くらいは、あまり面白くなく、この英語の文はどう訳するのかと、そういう翻訳上の興味で続けましたが、
エリザベス1世がケニルワース城に行幸するあたりから少し興味を引かれ、最後のほうは一気に進むほどの迫力でした。
ミステリーなどは最初に事件が起き、それで興味を引かれ、その事件の解決のストーリーに惹かれていきますが、この本は最初のあたりでもう放棄したくなります。
このケニルワース城、この小説の当時には栄華を誇るレスター伯爵の堂々たる城でしたが、現代は廃墟しか残っていません。
あらすじを紹介しなければなりませんが、それは時間を要する作業なので、また次回に譲ることにして、とりあえずはこの歴史的大作を読了したという記録です。

訳本
世界文学全集8 集英社
「ケニルワースの城 アドルフ」 ケニルワースの城は、369頁
訳者 朱牟田夏雄 安藤元雄





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旅立ちの季節

Bonsoir !

3月はとうとうまる一月休んでしまいました。

先日読んだこの「旅立ちの季節」デビット・ゾペティ著
著者はスイス生まれの外国人で、非母語である日本語で著作活動をしています。
外国人が母国語でない日本語で小説を書いているというので、どんな日本語なのかと読んでみました。
図書館の棚で日本人作家の間に紛れ込んでいたので、探すのに一苦労し、係の人に探してもらったら、この人は日本語で小説を書いているので日本人作家と同列に配置されているということでした。

外国人であると知らされなければ、日本人が書いた小説だと思ってしまうのは確実です。
ジュネーブ大学日本語学科を中退ということは、母国語はたぶんフランス語でしょうね。名前の音がどうもイタリアっぽい感じですが、やはりイタリア系だそうです。そしてドイツ語、フランス語、イタリア語、英語、日本語の5か国語に通じるマルチリンガルということです。執筆活動を続けるかたわら、2015年にはリフレクソロジー診療所を開き、日本人の患者さんがたくさん訪れてくるとか。

肝心の小説はというと、とても読みやすいです。北海道の小樽とフィンランドを背景とし、オーロラ観測村の話が出てきます。
主人公の楠木は海上保安庁を退職した後、終活をする様子が細かく描かれ、また平行して老後の生き甲斐を模索します。
そんなある日、両親を幼い頃に亡くしから育ての親となっていた姪の百合子が住んでいるオーロラ観測村を訪ねてみようという決心をします。ガラスイグルーからオーロラを初めて見て、ある計画を実行しようと思いたちます。さて、その計画とはいったい何なのか?
デビット・ゾベティ氏をフランス語で紹介した記事がありました。

スイスのLe tempsの記事から

https://www.letemps.ch/culture/mille-vies-david-zoppetti-tokyo

A la prochaine !




Chanson Douce 2016年 ゴンクール賞

Bonjour !

またまた1月が過ぎてしまい、はや師走となってしまいました。
最近はTwitterをまめに更新していますので、こちらが手抜きとなっています。
ブログを訪問してくださる方には申し訳ないですが、よかったらTwitterのほうをご覧ください。

さていま読んでいる小説を紹介します。
2016年 ゴンクール賞受賞の「Chanson Douce」著者Leïla Slimani です。
邦訳も「ヌヌ 完璧なベビーシッターというタイトルで」2018年3月に発売されています。
物語は、二人の小さな子供がヌヌ(nounou)の手によって殺されたところから始まります。
それから話は過去に遡り、この悲劇がどうして起きたのかが語られていきます。
主人公ミリアムは法学部を出て、専業主婦として二人の子供の子育てに専念していましたが、ある日偶然にも大学での同窓生にばったり出くわします。いまは弁護士事務所に勤務しているその彼が、ミリアムに仕事に復帰する気持ちがないかと電話をしてきます。子育てにも退屈しかけていたミリアムは夫のポールに相談したうえ、二人で子供の世話をしてくれるヌヌ(nounou)を探すことになります。何人かの応募者に面接したすえ、ルイーズというやさしくて子供好きで、きれい好きな女性に白羽の矢がたちます。
このルイーズ、本当に子供好きで、何をしても完璧で申し分のない人で、その仕事ぶりが細々と描写されていきます。
読んだのはまだこの辺りまでですが、こんな完璧で申し分ないヌヌがどうして、最初の悲劇に追い込まれていくのか、という疑問がつきまとい、次のページを読む気にさせられるのです。
フランスでは女性も仕事を持っているのが当たり前ということですから、こういう話は働く女性にとっても関心のあることで、女性の観点から書かれたこういう小説は身近に感じられます。それにフランス語も分かりやすいのです。
日本でもかって、有名人の子供がお手伝いさんに殺されるという事件がありましたが、あの事件を思い出してしまいました。
フランス語がやや難しいと感じられる方は、日本語の文庫版をそばに置いて読むといいですね。

A la prochaine !

再び田園交響楽

Bonjour !

この本については、以前にも紹介しましたが、縁あって再び取り上げます。
というのは、驚きの事実が発覚したからです。
大学2年のフランス語のテキストだったことは、既に述べました。
その頃から、この本がとっつき難く、難解だという感じがつきまとっていました。

ところが、あるサイトで日本語の要約を目にし、こんな話だったのかと目から鱗でした。
それでネットからPDF版をダウンロードし、mobiに変換し、Kindleに入れたのです。
100年前の本ですから著作権はすでになくなっています。

そしてキンドル版で読み始めたところ、テキストとは違うのです。何か変だなと感じ、両方を比較し分かったことは、テキストのほうは最初の部分が省略され、途中から始まっているのです。テキストなのに、こういう省略の仕方ってするものなのか、唖然としてしまいました。肝心の最初の状況設定に当たる部分がなく、いきなり途中から始まれば、何のことか分からないのも当然です。
わざとこの本を難しくしているようなものです。テキストの始まりは、「ジェルトリュードの最初の微笑というか、顔の表情に変化の兆しが現れた.....」という部分で、その後には迷える子羊の話が引用され、出し抜けから一体何のことか分からないという有様でした。
改めてキンドル版で、本の初めから読んでいくと、それほど難しくはなく、よく理解できるのです。
ただ100年前の本だけあって、今ではほとんど見かけない時制、接続法大過去などが出てきます。この時制だけは復習しないといけないですね。

こんな大して長くもない作品を、肝心の最初の部分だけ省略する必要があったのだろうかと、不思議になります。
あとがきでは、Gallimardの小型本に拠ったと書かれていますから、Gallimardの原本がそもそも初めの部分が省略されていたのか、そこまでは分かりません。

ということで、この本が読みづらいという理由が、大学を出て何十年かぶりに解決しました。

Bon week-end !

Bonjour Tristesse

Bonjour !

コートダジュールの町にちなんだ曲のついでに、コートダジュールというと思い出す小説があります。
フランソワーズ・サガン(Françoise Sagan、1935年6月21日 - 2004年9月24日)の『悲しみよこんにちは』(原題:Bonjour Tristesse)です。これは1954年、サガンが18歳のときに出叛されたという驚きの小説です。日本でもほぼ同時期に石原慎太郎氏の「太陽の季節」が発表されていますが、何とも驚くべき文才だと思います。サガンの「悲しみよこんにちは」は朝吹登水子さん翻訳の日本語版がありますが、私はどうしても原文で読みたかったので、PDF版を手に入れて読みました。
Bonjour Tristessという題名は、Paul Eluard (La vie immédiate)からの引用で、本の最初でこの詩が出てきます。
フランス語の勉強のために、そこだけ引用させて頂きます。

Adieu tristesse Bonjour tristesse
Tu es inscrite dans les lignes du plafond
Tu es inscrite dans les yeux que j’aime
Tu n’es pas tout à fait la misère
Car les livres les plus pauvres te dénoncent
Par un sourire
Bonjour tristesse
Amour des corps aimables
Puissance de l’amour
Dont l’amabilité surgit
Comme un monstre sans corps
Tête désappointée
Tristesse beau visage. Paul Eluard (La vie immédiate)

この小説はあまりにも有名ですから、あら筋など紹介するまでもないですが、このフランス的な感覚は1950年代の日本ではすんなり受け入れられたのかと思うほどフランス的です。現在ならば、それほど抵抗もなく、こういう関係もありでしょうか。
ともかく18歳でこういう小説を書けるということに、何度も驚くばかりです。

A la prochaine !
プロフィール

petitcedre

Author:petitcedre
フランス語サークル、パルレーを主催しています。
フランスとフランス語に興味のある方なら、どなたでも大歓迎です。
写真はヌメアのCroix-Rougeでのフランス語講座の光景です。



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